独自ドメインのメールアドレスの作り方|3つの方法と費用

この記事のまとめ(先に結論)
- 独自ドメインのメールアドレスは、「ドメイン名」と「メールを置くサーバー」の2つをそろえて、DNSでつなげば作れます。作り方はレンタルサーバー付属・メール専用サービス・Google Workspaceなどの3通りです。
- 費用の例は、メール専用サービスで年2,000円前後、Google Workspaceで1人月800円(税別・年間プラン)から。多くの場合、これにドメイン代がかかります(2026年10月16日に各社の料金ページで確認)。
- 作るだけでは不十分で、SPF・DKIM・DMARCという送信元の証明を設定しないと、Gmailなどで迷惑メール扱いになりやすくなります。Gmailは2024年2月1日から、すべての送信者にSPFかDKIMの設定を、大量に送る送信者には3つすべてを求めています。
- プロバイダのメールは、サービス自体が終わることがあります。2026年にはNTTドコモの法人向けメールが8月31日で提供を終了しました。独自ドメインでも、ドメインの管理先とメールの置き場所を把握していないと影響を受けます。
- 作ったあとの失敗で多いのは、社内宛のテストだけで済ませることと、複合機や問い合わせフォームの送信設定を忘れることです。テストは必ず社外のアドレスに送ってください。
独自ドメインのメールアドレスとは、info@会社名.co.jp のように、自社で持つドメイン名を@の後ろに使うメールアドレスです。GmailやYahoo!メール、プロバイダのアドレスと違い、@の後ろが会社の名前になります。
「会社のメールをそろそろ@gmail.comから変えたい」「プロバイダのメールが終わると通知が来た」。きっかけはさまざまですが、作る手順は共通しています。この記事では、独自ドメインのメールアドレスを作る3つの方法と費用、届くメールにするための設定、作ったあとに起きやすい失敗まで、中小企業や個人事業の方向けにまとめました。料金は2026年10月16日に各社の公式ページで確認したものです。料金は変わることがあるので、契約の前に必ず最新の表示を確かめてください。
独自ドメインのメールアドレスは、無料のアドレスと何が違う?
いちばんの違いは、アドレスの持ち主が自社になることです。無料のアドレスやプロバイダのアドレスは、サービス側の名前を借りて使っています。
@の後ろが自社の名前になる
メールアドレスは「@の前(ユーザー名)」と「@の後ろ(ドメイン名)」でできています。独自ドメインなら、@の後ろにホームページと同じ会社のドメインを使えます。名刺やホームページを見た相手にも、会社のメールだとひと目で分かります。
3種類のアドレスの違い
| 種類 | 例 | 費用 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 無料アドレス | yamada@gmail.com | 無料 | 会社の連絡先には見えにくい。アカウントの管理が個人まかせになりやすい |
| プロバイダのアドレス | yamada@〇〇.ne.jp | 回線契約に含むことが多い | プロバイダを解約すると使えなくなることが多い。サービス自体が終わることもある |
| 独自ドメイン | yamada@会社名.co.jp | 年数千円〜 | ドメインの更新を忘れると使えなくなる。送信元の証明の設定が要る |
プロバイダのメールは、サービスごと終わることがある
プロバイダのメールは、プロバイダとの契約に付いています。解約するとアドレスが使えなくなることが多く、メールだけ残せるコースがあるかどうかは会社によります。サービスそのものが終わることもあります。NTTドコモの法人向けサービス「BUSINESSぷらら」は、メールサービスの提供終了日を「2026年8月31日(月)」としました。9月1日以降は、お客さまごとに順次メールの送受信を止めると告知しています(出典: BUSINESSぷらら「メールサービスの提供終了について」)。
この告知では、独自ドメインのメールアドレスを使っていた人も対象でした。「同じ独自ドメインのご利用を希望される場合、他社代替メールサービス」を検討し、ドメインを他社へ移管するよう案内されています。独自ドメインにしていても、ドメインの管理とメールの置き場所をどこに任せているかを把握していないと、こうした終了の影響を受けます。
会社のメールを独自ドメインにするメリットは?
連絡先が長く変わらないこと、会社のメールだと伝わること、用途ごとにアドレスを増やせることの3つです。
名刺や請求書の連絡先が変わらない
ドメインを持ち続けている限り、メールを置くサーバーやメールソフトを変えても、アドレスはそのまま使えます。名刺、請求書、ホームページ、取引先の登録情報を書き換える手間がかかりません。
会社のメールだと分かる
ホームページと同じドメインのアドレスなら、受け取った人は会社からのメールだと判断しやすくなります。採用の応募者や新しい取引先なら、会社のアドレスから返信が来ること自体が安心材料になるはずです。
用途や担当ごとにアドレスを作れる
info@(問い合わせ窓口)、saiyo@(採用)、個人名@(担当者)のように、用途ごとにアドレスを分けられます。後で紹介するメール専用サービスの多くは、アドレスの数に上限を設けていません。担当者が辞めたときも、会社のアドレスなので引き継げます。
独自ドメインのメールを作るのに必要なものは?
必要なのは、ドメイン名、メールを置くサーバー、その2つをつなぐDNSの設定の3つです。
ドメイン名
ドメイン名は、ドメインの登録サービス(お名前.com、ムームードメインなど)で取得します。会社なら .co.jp が定番です。.co.jp は、日本レジストリサービス(JPRS)の説明によると「日本国内で登記を行っている会社が登録(取得)できるJPドメイン名。1企業または1組織につき1つだけ登録(取得)できます」(出典: JPRS「JPドメイン名の登録」)。すでにホームページのドメインがあるなら、新しく取る必要はありません。
メールを置くサーバー
届いたメールをためておく場所です。レンタルサーバーに付いているメール機能、メール専用のサービス、Google WorkspaceやMicrosoft 365のどれかを使います。違いは次の章で説明します。
DNSの設定
DNSは、ドメイン名とサーバーを結びつける仕組みです。「このドメイン宛てのメールはこのサーバーに届ける」という設定(MXレコード)と、送信元を証明する設定(SPF・DKIM・DMARC)を入れます。設定画面はドメインを管理している会社やサーバー会社の管理画面にあります。
独自ドメインのメールを作る3つの方法
レンタルサーバーに付いているメールを使う、メール専用サービスを使う、Google WorkspaceやMicrosoft 365を使う、の3つがあります。ホームページの有無と人数で選びます。
方法1:レンタルサーバーに付いているメールを使う
ホームページをレンタルサーバーで動かしているなら、多くの場合、同じ契約でメールも作れます。追加の費用がかからないのが利点です。たとえばエックスサーバーのスタンダードプランは、料金表(税込)で月額990円から、ディスク容量500GBとされています(出典: エックスサーバー「料金プラン」。990円は36か月契約の月額で、契約期間やキャンペーンで変わります)。
注意したいのは、ホームページとメールが同じサーバーに乗る点です。サーバーを引っ越して旧サーバーの契約をやめるときは、メールも一緒に移す必要があります。
方法2:メール専用サービスを使う
ホームページは別の場所にあり、メールだけ欲しい場合は、ドメイン会社などのメール専用サービスが手軽です。
- お名前メール:エコノミープランは「年払い:1,927円(約161円/月)」、容量4GB、メールアドレス数は無制限(税込。出典: お名前.com「お名前メール」)
- ムームーメール:「1年間の利用料 2,350 円」、ディスク容量30GB、メールアドレス数は無制限(出典: ムームードメイン「ムームーメール」)
- さくらのレンタルサーバ メールボックス:メール専用プランで、SSD容量20GB、メールアドレス数は無制限(出典: さくらのレンタルサーバ「料金プラン」)
費用は安いものの、容量やサポートの範囲はサービスで差があります。写真や図面の添付が多い会社は、容量を先に確かめてください。
方法3:Google WorkspaceやMicrosoft 365を使う
メールに加えて、カレンダーや共有ドライブ、オンライン会議もまとめて使いたい場合の方法です。Google WorkspaceのBusiness Starterは、年間プランで1ユーザーあたり月額800円(税別)です。保存容量は1人あたり30GB分が組織の共有の枠として付きます(出典: Google Workspace「料金」。確認日には期間限定の割引も表示されていました)。Microsoft 365にも同様の法人向けプランがあります。料金と条件は公式ページで確認してください。
1人ごとに料金がかかるため、人数が増えるほど費用は上がります。そのかわり、迷惑メール対策や端末をなくしたときの管理機能が手厚く、メールの使い勝手もGmailやOutlookと同じです。
3つの方法を比べると
| 方法 | 費用の例 | 向いている会社 | 気をつける点 |
|---|---|---|---|
| 1. レンタルサーバー付属 | サーバー代に含む(月990円〜の例) | ホームページを自社のサーバーで動かしている | サーバーの引っ越しでメールも動く |
| 2. メール専用サービス | 年1,927円〜2,350円の例 | メールだけ欲しい・人数が多い | 容量とサポートの範囲 |
| 3. Google Workspaceなど | 1人月800円(税別・年間)〜 | 共有カレンダーや会議も使いたい | 人数に比例して費用が増える |
どれを選べばいい?
ホームページがレンタルサーバーにあり、社員が数人までなら、まず方法1で足ります。ホームページは制作会社に任せていてメールだけ自社で持ちたい、人数が多くて1人ごとの料金を抑えたい、なら方法2です。社内の予定共有やファイル共有も整えたいなら方法3を選びます。迷ったら、今使っているホームページの契約にメール機能が含まれていないかを先に確かめてください。
独自ドメインのメールアドレスを作る手順
どの方法でも、ドメインの準備、メールサービスの契約、DNSの設定、アドレス作成、端末の設定、社外へのテストの順に進めます。
DNSの変更が反映されるまでには時間がかかる場合があります。今のメールから切り替える場合は、旧アドレスの受信をしばらく残し、取引先への案内を済ませてから止めます。
届くメールにするための設定:SPF・DKIM・DMARC
独自ドメインのメールは、送信元を証明する設定を入れないと、相手のメールソフトで迷惑メールに振り分けられたり、受け取りを拒否されたりします。
SPF・DKIM・DMARCとは何か?
- SPF:「このドメインのメールは、このサーバーから送ります」と宣言する設定
- DKIM:メールに電子署名を付け、途中で書き換えられていないことと送信元を証明する設定
- DMARC:SPFかDKIMの結果と、差出人欄(From)のドメインが一致しているかを確かめ、合格しなかったメールを受け取った側でどう扱ってほしいか(受け取る・迷惑メールに入れる・拒否する)を伝える設定
3つとも、主にDNSに文字列を追加して設定します。DKIMは、メールサービスの管理画面で署名を有効にする操作も必要なことがあります。どの値を入れるかは、使うメールサービスが案内しています。
Gmailは2024年2月から設定を求めている
Googleの「メール送信者のガイドライン」は、「2024 年 2 月 1 日以降、Gmail アカウントにメールを送信するすべての送信者」に、SPFまたはDKIMの設定などを求めています。1日5,000件を超えて送る送信者には、SPF・DKIM・DMARCのすべてが必要です(出典: Gmail ヘルプ「メール送信者のガイドライン」)。同じガイドラインは、迷惑メールとして報告される率を0.3%未満に保つことも求めています。
Outlookも大量に送る送信者に義務化した
Microsoftも、Outlook.comなどの個人向けメールに、同じドメインから5,000通以上送る送信者を「大量送信者」とし、SPF・DKIM・DMARCを求めています。条件を満たさないメールは「550 5.7.515」というエラーで受け取りを拒否されます(出典: Microsoft サポート「Fix NDR error "550 5.7.515" in Outlook.com」)。数えるのは会社の規模ではなく、そのドメインから送るメールの数です。メールマガジンやシステムからの自動送信も同じドメインで送っていれば合算されます。
日本ではDMARCの導入が少なかった
総務省の情報通信白書によると、JPドメインでの導入状況は「2022年12月時点で、SPFは約77.2%、DMARCは約2.7%」でした(出典: 総務省「令和5年版 情報通信白書」)。少し前のデータですが、SPFは広く入っている一方、DMARCまで設定しているドメインは少数でした。新しく作るなら、最初から3つとも入れておくのがおすすめです。
アドレスの名前はどう決める?
窓口用のアドレスと担当者用のアドレスを分け、短く、聞き間違えにくい名前にします。
窓口用と担当者用は分けたほうがいい?
ホームページや名刺に載せる問い合わせ窓口は info@ や contact@ のような共通のアドレスにし、複数の人で受けられるようにします。担当者ごとのやりとりは、yamada@ のような個人のアドレスで行います。窓口を個人のアドレスにすると、その人が休んだり辞めたりしたときに問い合わせが埋もれます。
決めるときの注意
- 電話で伝えやすい、短い綴りにする(「l」と「1」、「o」と「0」のように紛らわしい文字は避ける)
- 部署名を入れる場合は、組織変更があっても使える名前にする
- 個人のアドレスは「名字」か「名字.名前」などに統一し、社内でルールをそろえる
作ったあとに起きやすい失敗
つまずきやすいのは、メールの作成そのものより、作ったあとのテストと周辺機器の設定です。いずれも、メールの切り替えを実際に手がけるなかで起きたことです。
社内宛てのテストだけでは、送信の不具合に気づけない
メールソフトの送信サーバーで認証の設定が抜けていると、社内宛てには送れるのに、社外宛てだけ「Relay access denied」などのエラーで送れない、ということが起きます。社内宛ては認証なしでも届いてしまうため、社内同士で試しただけでは気づけません。切り替えた日には、必ずGmailや携帯など社外のアドレスに送ってください。
複合機や問い合わせフォームの送信設定を忘れる
メールを送っているのは、パソコンとスマホだけではありません。複合機のスキャン送信機能、ホームページの問い合わせフォーム、会計ソフトの請求書送信、防犯カメラやNASの通知などにも、送信サーバーの設定が入っています。特に問い合わせフォームは、送れなくなってもエラーが送り主に返らないことがあり、「最近問い合わせが来ない」と気づくまで時間がかかります。切り替える前に、メールを送っている機器とサービスを一覧にしておきます。
POPで受信して、メールが片方の端末にしか残らない
受信の方式にはPOPとIMAPがあります。POPは端末にメールを取り込んでサーバーから消す設定にできるため、パソコンで受信すると、スマホでは同じメールが見られなくなることがあります。IMAPはサーバーにメールを残したまま読む方式なので、複数の端末で同じ受信箱を見られ、パソコンが壊れてもメールは残ります。今から設定するなら、IMAPを選んでください。
ドメインの更新を忘れる
ドメインには有効期限があり、更新しなければメールもホームページも止まります。支払いのクレジットカードが期限切れになっていて、自動更新が失敗していた、ということも起こります。誰の名義で、どこの会社が管理し、いつ更新されるのかを、社内の誰が見ても分かる場所に控えておきましょう。制作会社に管理を任せている場合は、契約書に「使う権利」と「契約が終わったときの移管」の条件が書かれているかを確かめます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 独自ドメインのメールアドレスは、無料で作れますか?
A. ドメインの取得と更新には費用がかかるため、完全に無料にはなりません。ホームページ用のレンタルサーバーをすでに契約しているなら、その中でメールを作れることが多く、追加の費用はかからない場合があります。
Q2. 今のGmailはそのまま使いながら、独自ドメインのアドレスから送れますか?
A. 今はGmailに、別のアドレスを差出人にして送る設定があります。ただしGoogleは「2027 年 1 月より」、Gmail以外のメールアドレスを差出人にして送る機能のサポートを終えると告知しています(Google Workspaceのエイリアスなどは対象外。出典: Gmail ヘルプ「別のアドレスやエイリアスからメールを送信する」)。これから作るなら、メールソフトで独自ドメインのアドレスを直接使うか、Google Workspaceにするほうが長く使えます。
Q3. .co.jp と .com は、どちらがいいですか?
A. 日本で登記している会社なら、.co.jp が会社のドメインとして分かりやすい選択です。原則として1社1つしか取れないため、会社であることの目印になります。すでに .com でホームページを運営しているなら、メールも同じドメインにそろえるほうが混乱がありません。
Q4. プロバイダのアドレスから独自ドメインに変えるとき、何から始めればいいですか?
A. 先に新しいアドレスを作って社外とのテストを済ませ、旧アドレスはしばらく受信できる状態のまま残します。そのうえで、取引先へのお知らせ、名刺・ホームページ・請求書の書き換え、各種サービスの登録変更を進めます。旧アドレスを止めるのは最後です。
Q5. 社員が辞めたとき、その人のメールはどうすればいいですか?
A. すぐに削除せず、パスワードを変えて会社で管理し、届いたメールを後任者に転送する設定にしておくと、取引先からの連絡を取りこぼしにくくなります。窓口用のアドレスを info@ などの共通アドレスにしておくと、引き継ぎがさらに楽になります。
まとめ
独自ドメインのメールアドレスは、ドメイン名とメールを置くサーバーをそろえ、DNSでつなげば作れます。方法は、レンタルサーバー付属、メール専用サービス、Google Workspaceなどの3つで、ホームページの有無と人数で選びます。
作ったら、SPF・DKIM・DMARCを入れ、社外のアドレスにテストを送ってください。複合機や問い合わせフォームなど、メールを送っている機器の設定も忘れずに切り替えます。ドメインの名義・管理先・更新日を控えておけば、サービスの終了や担当者の交代があっても慌てずに済みます。
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