個人事業主のホームページ作り方|0-1の最小構成と失敗しない順序【予算別】

この記事のまとめ(先に結論)
- 個人事業主にホームページが「絶対に必要」とは言い切れません。紹介と口コミで仕事が回っている人は、後回しでも問題ないケースがあります。
- ただし、取引先・顧客から検索される業種(士業・コンサル・職人・サロン・教室など)では、ホームページの有無がそのまま信用に直結します。
- 0円〜10万円で作る最小構成は、プロフィール/実績/お問い合わせの3ページ。ノーコードツールで自作するか、知人に頼める範囲で十分です。
- 「自分で作る時間」と「制作費」を天秤にかけると、時給換算で2,000〜3,000円を超える事業者は、最初から外注したほうが安く済みます。
- SNSだけに頼るのはおすすめしません。アカウント停止リスク・アルゴリズム依存があり、検索流入も積み上がりません。
※本記事の数字は、フリーランス協会「フリーランス白書2025」、中小企業庁「小規模事業者持続化補助金 第19回公募要領」、Web幹事・ファーストネットジャパン等の制作費相場データを参照しています。
「ホームページって、自分みたいな一人の事業者にも本当に要るの?」——開業前後でいちばん多い質問のひとつです。
結論から言えば、必要なケースと、急がなくていいケースがあります。とりあえず作る前に、自分がどちら側か見極めたほうが無駄なお金を払わずに済みます。
この記事では、ホームページ制作の現場でいろんな個人事業主と関わってきた立場から、必要性の判断軸・予算別の作り方・段階的な拡張ロードマップまでを整理しました。これから開業する人にも、開業して数年経った人にも当てはまる内容になっています。
個人事業主にホームページは本当に必要か
必要性が高い業種・状況
次のいずれかに当てはまる人は、優先度高めで考えて構いません。
士業・コンサル・カウンセラー系
料金体系・実績・プロフィールが分からないと相談が来ません。信用がそのまま受注率を決める仕事です。検索される回数も多く、ホームページがないだけで候補から外れます。
職人・施工系(リフォーム・電気・設備・造園など)
「地域名+業種」で検索されます。施工写真・対応エリア・連絡先を見せられないと、見積もり依頼の段階で離脱します。Googleビジネスプロフィールと組み合わせると効果が大きい領域です。
サロン・教室・整体・ピラティスなど店舗系
料金・営業時間・予約導線が必須情報。SNSのプロフィール欄だけでは伝えきれません。
BtoB寄りのフリーランス(デザイナー・ライター・エンジニアなど)
発注側がポートフォリオを確認する文化があります。実績ページが事実上の名刺代わりです。
なくても回るケース
逆に、次のような場合は急いで作らなくても支障が出ないことが多いです。
すでに紹介と既存顧客だけで売上が安定している場合。フリーランス協会「フリーランス白書2025」では、仕事獲得経路の72.8%が「人脈(知人の紹介含む)」、61.0%が「過去・現在の取引先」と報告されており、紹介経由が依然として最大の入り口になっています。これだけで埋まっているなら、まずは目の前の仕事を回したほうが利益は出ます。
また、エージェント経由が中心のフリーランスエンジニア・コンサルなども、登録サイトが営業窓口を兼ねるため、自前のホームページの優先順位は下がります。
「あったほうがいいのは間違いない、ただし今すぐ必要かは別の話」——ここを混同しないようにしてください。
0円〜10万円で作る、開業初期の最小構成
最初に必要なのは「3ページ」だけ
開業直後にいきなり10ページ20ページの大きなサイトを作る必要はありません。最初の役割は「信用してもらうための名刺の拡張版」で十分です。
必要なのは次の3ページ。
① プロフィール/自己紹介ページ
顔写真、経歴、屋号、対応業務、対応エリア。「どんな人か」が分かれば、初対面でも警戒が解けます。
② 実績・サービス紹介ページ
過去に何をやってきたか、どんな仕事を受けているか、料金感(公開できる範囲で)。施工系なら写真5〜10枚、士業ならサービス3つくらい。
③ お問い合わせページ
フォーム、もしくはメールアドレスと電話番号。LINE公式や予約システムへのリンクでも構いません。
この3ページがあるだけで、「ちゃんと事業として活動している人」という印象は十分に作れます。
無料〜低コストで使えるツール
自分で作るなら、選択肢は大きく分けて3つです。
Wix/Jimdo/STUDIO などのノーコード型
ドラッグ&ドロップでデザインを組めます。無料プランでも公開可能ですが、独自ドメインを使うには有料プラン(月¥1,500前後〜)が必要です。スピード重視ならこの選択肢。
ペライチ/Googleサイト
1ページ完結型のLPに近い構成。シンプルなプロフィールサイトには十分機能します。Googleサイトは完全無料ですがデザインの自由度は低めです。
WordPress+格安サーバー
エックスサーバーやロリポップ等で年間¥5,000〜¥15,000程度。テーマ次第で自由度は高いものの、初期セットアップとセキュリティ対策の手間はそれなりにかかります。
「とりあえず立ち上げる」までなら、ノーコード型が一番速いです。慣れていない人がWordPressから入ると、半日で挫折することが多い領域です。
30万円までで作る、伴走型の小規模ホームページ

この価格帯で頼める範囲
2026年現在、フリーランスの制作者・小規模制作会社に依頼する場合の相場は、Web幹事・ファーストネットジャパン等の調査で10万円〜50万円程度とされています。5〜10ページの小規模サイトであれば、30万円前後が一つの目安です。
この価格帯で頼めるのは、おおむね次の範囲です。
テンプレートをベースにしたデザインカスタマイズ
ゼロから完全オリジナルのデザインを起こすと50万円〜の領域に入ります。30万円以内ならテンプレートをうまく流用する設計が現実的です。
5〜10ページ程度の構成
トップ・プロフィール・サービス×2〜3・実績・お問い合わせ・ブログ初期構築、くらいのボリュームです。
地域名+業種の基本的なSEO設定
タイトル・見出し・構造化データなど、検索で見つけてもらうための最低限の土台。これがあるだけで、地方の事業者はGoogleビジネスプロフィールとの相性が良くなります。
外注時にかかる「制作費以外」の費用
制作費だけ見て予算を組むと、運用フェーズで詰まります。年間でかかる固定費を最初に押さえておきましょう。
ドメイン費は年間¥1,500〜¥3,000。.jpドメインだと¥3,500前後。サーバー費は年間¥5,000〜¥20,000。保守・更新サポートを外注するなら月額¥5,000〜¥30,000が相場です(業界全体の相場感)。
つまり、外注で30万円のサイトを作ると、年間で5〜30万円のランニングが別途乗ります。ここを織り込まずに依頼すると、2年目で「思ったより負担が大きい」となって更新が止まります。
自分で作る vs プロに頼む、時間コストで考える
自分で作ると「いくら分の時間」がかかるか
「自分で作れば無料」は、ほとんどの場合錯覚です。
ノーコードツールに慣れていない個人事業主が、3ページの簡易サイトを公開できる状態まで持っていくのに必要な時間は、平均して30〜60時間。素材集め・文章作成・写真の用意・スマホ表示の調整まで含めると、思っているより倍くらいかかります。
仮に自分の時給換算が¥3,000の事業者なら、30時間で9万円分の機会損失。60時間なら18万円分です。ここに「学びながら作ったので試行錯誤の時間」と「本業が止まったぶんの売上機会損失」を足すと、外注した方が安くつくケースは珍しくありません。
それでも自分で作るべき人
逆に、次のような人は自作のほうが向いています。
第一に、事業の方向性がまだ定まっていない人。サービス内容が3ヶ月で変わる可能性があるなら、自分でいじれる状態にしておいたほうが小回りが効きます。
第二に、趣味的に手を動かすのが好きな人。デザインや文章を考える時間そのものが楽しいなら、機会損失は実質ゼロです。
第三に、本業が完全に止まっていて時間が余っている開業準備期。手を動かすことで事業の言語化が進むメリットもあります。
逆に「本業が忙しいけど自分でやる」が、いちばん中途半端で終わるパターンです。
SNSだけでは足りない理由
SNSの構造的な弱点
「InstagramとXがあるからホームページは要らない」——この発想は、短期的には合理的ですが、長期的にはリスクが大きいです。
アカウント停止のリスク
SNSは規約変更や誤BANで一夜にして消えます。フォロワー1万人を積み上げていても、復活が保証されません。「すべてのお客様情報がDMの中にある」状態は、事業継続の観点でかなり危ない。
過去の投稿が流れる
SNSのタイムラインは時系列で消費されます。1ヶ月前の投稿は事実上見られません。一方でホームページの記事は、検索エンジン経由で1年後・2年後も読まれ続けます。資産性が違います。
料金・予約・問い合わせ導線が弱い
SNSは情報を整理して見せる場ではありません。料金表・営業時間・地図を一覧でまとめるには、ホームページの構造が必要です。
SNSとホームページの正しい役割分担
うまく回している個人事業主は、両者を分業させています。
SNSは「発見してもらう入り口」。日々の発信、人柄、世界観を見せる場所。
ホームページは「信用してもらって発注してもらう場所」。料金・実績・問い合わせ導線を整理する場所。
SNSで興味を持った人をホームページに流す。これがいちばん再現性が高い導線です。
名刺・チラシとの連動(QRコード)
ホームページを作ったら、必ず名刺と紙ものに反映してください。これをやらない人が多すぎます。
名刺の裏面または表面の余白に、ホームページURLとQRコードを載せる。スマホでカメラを向ければ、その場でサイトに飛べる。これだけで、初対面の人にプロフィールと実績を一気に伝えられます。
運用上のコツは2つ。
QRコードは最低1.5cm角確保すること。それ以下だと印刷の精度によっては読み取れません。
背景色とコントラストをはっきりさせること。薄いグレーや色背景に黒のQRは、読み取りエラーが増えます。
チラシ・ショップカード・看板も同様です。「あとはホームページで」と書いておけば、紙の情報量を最小限にできて、デザインもすっきりまとまります。
段階的な拡張ロードマップ(1年目→3年目→5年目)

1年目:信用の土台を作る
3ページの最小構成+お問い合わせフォーム。プロフィール・実績・連絡先が分かれば合格です。検索順位を狙うより、名刺から飛んできた人に「ちゃんとしてる人だ」と思ってもらうことを優先します。
この段階での予算感は0〜30万円。自作するか、信頼できる小規模制作者に頼むかの二択です。
3年目:検索流入を取りに行く
事業が軌道に乗ってきたら、ブログ・コラム・実例紹介を増やします。月2〜4本ペースでも、3年続ければ70〜150本の記事資産になります。
このタイミングでGoogleビジネスプロフィールとの連携を本格化させると、地域検索からの問い合わせが安定して入ってくる状態に近づきます。
予算感は制作リニューアル30〜80万円+運用月¥10,000〜¥30,000。記事制作を外注するなら別途。
5年目:採用・拡張のフェーズへ
一人で回す体制を超えて、外注や採用を視野に入れる段階。採用ページ・メディア化・予約システム・顧客管理などの拡張が必要になります。
このフェーズでは、ホームページが単なる名刺ではなく「事業の中枢システム」に変わります。デザインも含めてフルリニューアルし、100万円超の投資を視野に入れる時期です。
逆に言えば、1年目から100万円かける必要はありません。事業の成長に合わせて、段階的に育てていけば十分です。
業種別アドバイス
フリーランス系(デザイナー・ライター・エンジニア)
ポートフォリオがすべてです。テキスト中心の自己紹介より、過去の制作物・執筆物・コードサンプルを見せる構成にしてください。問い合わせの段階で「この人なら任せられそう」と思わせる材料を、トップから2クリック以内に置く。
WordPress+ポートフォリオ系テーマ、もしくはSTUDIOのようなデザイン重視ノーコードが向いています。
職人系(電気・設備・リフォーム・造園など)
「地域名+業種+実例」で検索されることを意識します。施工写真は最低20点、Before/After、対応エリアの地図、緊急対応の有無。これらが揃っているだけで、地方ではかなり強い位置に立てます。
電話番号はスマホで1タップで発信できるようにしておくこと。リフォーム系では、ここを忘れているサイトが本当に多いです。
コンサル系(コーチ・カウンセラー・士業)
信用=受注率の業界。顔写真・経歴・実績・料金体系・初回相談の流れを、隠さず開示します。料金を伏せると問い合わせ率が落ちます(高額の場合は「30万円〜(内容により変動)」のような提示でも十分)。
士業の場合は士業向けホームページの集客記事に、より詳しい構成例をまとめています。
クリエイター系(写真家・イラストレーター・作家)
作品が主役。文章は最小限、画像は最大化。余白を活かしたシンプルなデザインが向きます。STUDIO・Cargo・Adobe Portfolioあたりが王道です。
SNSで作品を見てくれた人が「もっとちゃんと見たい」となったときの受け皿。ここを意識すると構成がぶれません。
補助金を使うという選択肢
個人事業主でも、条件を満たせば小規模事業者持続化補助金でホームページ制作費の一部を補助してもらえます。
2026年・第19回公募時点の通常枠では、補助上限50万円・補助率2/3。ただしウェブサイト関連費は補助金額の1/4・最大50万円までという上限があり、ウェブサイト単独では申請できない制約もあります。
申請には商工会・商工会議所による事業支援計画書(様式4)の発行が必要で、申請から入金までは半年〜1年かかります。「すぐにホームページが欲しい」ニーズには合いません。一方、1年がかりで腰を据えて事業を伸ばすつもりなら、活用する価値は十分あります。
詳しい申請の流れ・注意点は、別記事の補助金でホームページを作る方法【2026年版】にまとめています。
スタジオ・コハクの考え方
うちは、個人事業主や開業初期の小さな会社を主な相手にしているスタジオです。30〜100万円の制作と、月¥5,000〜の運用パックを組み合わせて提供しています。
無理に大きなサイトを売りつけることはしません。事業の段階を見て、「今は3ページで十分」「ブログは3年目から」といった現実的な提案をするほうが、結果的に長くお付き合いいただけると考えているからです。
とくに開業直後の方には、ライトプラン(¥10,000・月2本のブログ記事代行)を最初の入り口としておすすめしています。サイト本体の制作と並行して、コハク側でブログ記事を月2本書き続けることで、1年後には24本の記事資産が積み上がります。検索流入の土台を作るには、これがいちばん再現性が高いやり方です。
「まず話だけ聞きたい」「自分の業種だとどうなるか相談したい」——そういうご相談から大歓迎です。無料相談では、たたき台のデザイン案までセットで作ってお渡ししています。
集客の考え方そのものに興味がある方は、ホームページ集客の基本もあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 開業届を出すときに、ホームページのURLは必要ですか?
必要ありません。国税庁の開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)に、ホームページURLを書く欄はありません。屋号・住所・業種などの基本情報があれば提出できます。
Q2. 開業前にホームページを作っておくべきですか?
事業の方向性が固まっているなら、開業と同時に出せると理想的です。固まっていないなら、最初の3ヶ月は本業に集中して、固まってから作ったほうが結果的に早く完成します。「決めかねている状態」で作り始めるのが、いちばん時間を浪費します。
Q3. SNSのリンクをまとめたLinktreeで代用できませんか?
名刺裏のリンク集としては機能しますが、「ちゃんとした事業者」という信用形成には足りません。料金・実績・問い合わせ導線を整理するには、最低限のホームページが必要です。Linktreeはあくまで補助ツールと考えてください。
Q4. ドメインは独自ドメインにすべきですか?
本気で事業を続けるなら独自ドメイン推奨です。年間¥1,500〜¥3,500程度。無料プランの「.wixsite.com/〜」のようなURLは、名刺に書いたときの見た目が弱く、メールアドレスも作れません。ここはケチらない方が長期的にプラスです。
Q5. ホームページを作ってもアクセスがゼロだったら意味がないのでは?
「検索流入で集客する」ことだけがホームページの役割ではありません。名刺・SNS・口コミから飛んできた人に、料金や実績を整理して見せる場として機能していれば十分元は取れます。検索流入は2年目以降に育てていくものと考えてください。
Q6. WixやJimdoで自作したサイトを、後からプロに引き継いでもらえますか?
難しいです。ノーコードツールは内部構造を外部に持ち出せないため、引き継ぎではなく「作り直し」になるケースがほとんどです。将来的に外注する可能性があるなら、最初からWordPressで作っておくか、最初の数年だけ割り切ってノーコードを使い、リニューアル時に作り直す前提で計画してください。
まとめ
個人事業主のホームページは、「いつ・どこまで作るか」の判断がすべてです。
開業直後はプロフィール・実績・お問い合わせの3ページで十分。事業が回り始めたらブログを足し、3年経ったあたりでリニューアルを検討する。この段階を踏めば、お金も時間も無駄になりません。
「自分の業種・予算で何ができるか具体的に知りたい」という方は、無料相談で一緒に考えます。たたき台のデザイン案までお渡しするので、その場で発注しなくても、判断材料として持ち帰っていただけます。


